最初の起業は利益こそ出たが、自分自身が熱狂できない結果に終わった。ビジネスは何をするか以上に、マーケティングと参入タイミングが欠かせない要素。
投資初心者も利用しやすい貸付ファンドサービス「Funds」を運営するファンズ株式会社。個人から直接デットファイナンスを可能とした金融スキームとして、上場企業からも注目を集めている。「国民的な資産運用サービス」を目指す藤田雄一郎CEOに、経営者としての原点を聞いた。
大学への合格率を上げるため、一度あえて浪人した計画
─起業する前の話からお聞きしたいのですが、藤田さんはどのような学生時代を過ごされたのでしょうか
いわゆる一般的な子どもだったと思います。また、常に楽しく遊んでいたので、勉強した記憶もあまりないんです。成績も良くなかったですし、特に高校では学年420人中、常に400位以下でしたから(笑)。
─勉強せずに遊んでいたとはいえ、その後は早稲田大学に合格されています
遊んで過ごしたとはいっても、別に勉強が嫌いだったわけではないんです。ただ、勉強していなかったので結果浪人してしまった。1年間で早稲田に合格するにはどうしたら良いかなと。そこで私は合格した人の学習法をリサーチして効率的に勉強したんです。
─合格までの仕組みをハックしたという感覚でしょうか
結果的にはそのようなイメージです。しかも、私は目的地から逆算してプロセスを設計するのが得意なのかもしれません。というのも、大学でサークルを立ち上げたときも同じように逆算して設計していました。
サークル活動で学んだ組織づくりの仕組み
─なぜ、大学で新たなサークルを作ったのでしょうか
それはもう、学生らしい不純な動機でした(笑)。まず、既存のサークルに入った場合、当然1年生がいちばん下っ端に位置しますよね。だったら自分たちでサークル作れば、いきなり最上級生になって、目立てるし好き勝手やれるんじゃないかと。それで、音楽イベントのサークルを立ち上げました。
「大学でのサークル立ち上げは、会社組織のゼロイチと似ている要素が多い」と話す藤田CEO。
─サークル活動の経験が、現在のビジネスにも活かされているとお聞きしました
組織という観点で言うと、会社もサークルも同じような構造だと思います。まず、サークルを新たに作るためには人を集めなくてはいけません。そこでコンセプトを作り、それを魅力的に語って人を集めます。さらに、モチベーションを高めながら一致団結して目標を実現させる。この構造は会社経営と酷似していると思いますし、経営者となった現在も活かされています。
マーケット選定と参入タイミングがスケールを加速する
─大学を卒業後はサイバーエージェントに入社されたそうですが、どういった理由で選択したのでしょうか
ITを学びたいと思い、急成長中だったサイバーエージェントに入社したんです。そこでは2年ほどマーケティングを学びながら、日々ITの可能性を感じていました。その後は起業を志望していたため、2007年にWeb制作やマーケティング支援の会社を立ち上げたんです。しかし、残念ながら思うような結果にはならず、2012年に上場企業へ売却しました。
─なぜ、事業はうまくいかなかったのでしょうか
そもそもは、単なる憧れから起業してしまったことが要因のひとつです。当時はマーケット選定も不十分でしたし、参入したタイミングも見極めていなかったですし。結果的に、レッドオーシャンに丸腰で飛び込んだ形となってしまい、思ったようなスケールもできませんでした。
─その後、ファンズの起業までに一旦、会社員に復帰したそうですね
様々な事業をリサーチする中、個人が企業に出資するスキームの盛り上がりを知りました。ただ、ユニークなビジネスで挑戦するには、改めて勉強する必要があるなと。そこで、ちょうど立ち上げ期のクラウドファンディングの会社に参画させていただいたんです。そちらでは、金融の様々な知識を得ると同時に「Funds」 の原型となるビジネスモデルを見出しました。
利用者と企業に貢献できる「Funds」をさらに広めていく
─Web制作会社を売却できたということは、事業として成立していたと思います。それでも次のステージを目指したのはなぜでしょうか。
サービスとして成立するだけでなく、自ら熱狂できる事業を手がけたいんだと思います。売れるとか生活できることも大切ですが、それ以上にワクワクするようなユニークビジネスがしたい。そういった意味では、弊社の手がける「Funds」には非常に夢を感じています。
「Fundsは弊社の利益だけでなく、多くの個人や企業の利益にも繋がる理想的なビジネスモデル」
─自らも熱狂できるビジネスとなった「Funds」が目指す未来をお聞かせください
弊社のビジョンが「国民的な資産運用のサービスを作る」なので、今後も「Funds」を広めていきます。というのも、一般的な投資は知識やリスク管理が必要なため、多くの人が参加しにくい点がデメリットです。そこで「Funds」では、固定利回り+運用期間もFixしているため、みなさんに魅力を感じていただけると思っています。
さらにもう一点、現在の日本には1千兆円もの預金があり、ただ眠っている状態なんです。この預金を成長企業に回すことができれば、経済の発展に貢献できるという見方もできますよね。さらに、貸し付けた個人にもリターンがありますので、「Funds」はお互いにとって魅力的なサービスです。
マーケット選定と参入時期がユニークビジネスを実現し、会社の熱量を生み出すと藤田CEOは語った。自らが熱狂するサービス「Funds」はさらなる進化を遂げていくのだろう。
会社名 | ファンズ株式会社 (旧社名 株式会社クラウドポート) |
住所 | 東京都渋谷区恵比寿西1-10-11 フジワラビルディング5階 |
代表 | 藤田 雄一郎 |
設立 | 2016年11月1日 |
Web | https://funds.jp/ |