「大手でも結果を出せたらすごい」と言われ転職を決意。30歳の中途採用から半年で一気に成果を上げ、確信と自信を手に入れることができた。すべては苦労や困難にも挑み続けた精神力のおかげ。
2003年に大阪で生まれた任意売却専門のプロ集団、株式会社エイミックス。住宅ローンが破綻すると当然のように破産していく債務者たちに、以前から疑問を持っていた貝阿彌佳則(かいあみよしのり)代表。大手がやらないなら自分がやろうと起業した貝阿彌氏の生い立ちと経営の原点を聞いた。
スパルタ指導で培った強靭な精神力
─貝阿彌さんはどのような子ども時代を過ごされましたか
小学校から高校まではずっと野球少年で、高校野球の大阪予選ではベスト16までいきました。現在とは違い、炎天下に熱中症で倒れそうになりながらも、先輩からは「水飲んだらアカンぞ!」と言われる時代。さらに、エラーをすれば「ケツを出せ!」と、金属バットでお尻に喝をいただくのです(笑)。あまりの痛さに悶絶しながらも、監督や先輩には逆らえませんので、悔しさをバネにひたすら練習に励んでいました。
─現代では確実に社会問題となる環境ですが、それでも続けるほど野球が好きだったのでしょうか
まず、辞めるという選択肢がそもそもなかったですね。どんなに苦しくても、意地でも結果を出してやろうと考えていました。この感覚は商売とも同じで、100人の中から実際に行動するのは10人程度ですよね。さらに、その10人の中で最後までやり切るのは1人いれば良いほうじゃないですか。それほど継続には根性が必要だと思っています。
現在では、精神論をないがしろにする人もいますが、商売こそ精神より大切なものはないと思うんです。誰もやりたくないことでも逃げず、思うような結果が出なくても諦めず、何億円の失敗をしてもチャレンジをする。ときには周囲からもバカにされたり、毎日が辛かったりしても、精神力さえあればやり抜けるんです。確かに厳しい点もありましたが、私にとって野球での経験は現在にも活かされています。
やりたいことは探すのではなく出会うもの
─卒業後はどのような仕事をされたのでしょうか
当時はやりたいことがなく、とりあえず自衛隊に入ってはみたのですが、これという手応えは感じませんでした。そこで、一旦やりたいことを見つけるのはやめ、転職しながら様々な人に会ってみるのも良いかなと。そんな中、億単位の取引をされている不動産会社の社長との出会いはインパクトがありました。あの頃の私にとっては数万円でも大金でしたし、あまりの桁違いな金額とダイナミックな人柄に心を奪われました。
「やりたいことが見つからなかったので、がんばっていたら自然にやりたいことに出会っていた」
─貝阿彌さんはかつて住友不動産販売にいたと伺いました
私は30歳で住友不動産販売に中途入社したのですが、実はそのときには起業を考えていたんです。ところが、地場不動産で営業マンをしていた私に、「貝阿彌さんは確かにすごいけど、住友や三井でも1位を獲れたらすごいわね」と、別会社の事務員さんに言われまして。それを聞いた私は、大手で結果を出せば自信になると思い、さっそく住友不動産販売に転職したんです。
いずれにしても、前職の地場不動産はボーナスもなかったし、歩合も出なくなったので「大手で勝負します」と申し出て、無事に円満退社しました。ただ、私が入社した1993年はバブル崩壊の影響がまともに出ていた時期なんですね。しかも、高卒の自衛隊上がりという経歴の不安は多少ありましたが、私としては確実に勝負できる実力と自信は持っていました。
誰もが放置したエリアや物件を徹底的に売り抜いた
─30歳での転職を決めて、実際に住友不動産販売での仕事はいかがでしたか
中途採用は初めから良いエリアは担当できないので、まずは会社のシステムを学ぶ作業からスタートします。ところが、私にとってはこの工程やOJT(職場内訓練)が非常に苦労しました。というのも、住友不動産販売は前職の地場不動産のような、成り行きというか属人的な環境ではないんです。ただ、私は意地でも即戦力として結果を出したかったので、全力で仕事に取り組みました。
私が結果を出すために取った戦略は、他の営業マンが「行かなかった地域」や「手をつけなかった場所」、いわゆるみんなが避けたところを徹底的に回ることでした。すると、中途入社から半年足らずの私が全社員の中で3位になったんです。さらに、閉店を予定していた藤井寺支店を予算比600%にV字回復させ、在籍時はたくさんの表彰をいただきました。
─驚異的な成果を出したことで、あっという間に昇級したのではないでしょうか
一般的には33歳あたりで支店長になるのですが、私はまったく魅力を感じませんでした。収入も営業のほうが圧倒的に稼げるし、なによりも私はプレイヤーが好きなんです。会社員としては、部下を育てることに価値があるのもわかってますし、私自身もそれを10年間やってきました。ただ、その過程で私が望んだのは、支店長でも社内の出世でもなく起業だったのです。
実績とマーケット選定が自分に自信を持たせてくれた
─マーケットとしては後発でもあったわけですが、40歳からの起業に勝算はあったのでしょうか
大手の住友不動産販売でいくつもの結果を残したことで、自分のやり方は間違っていないと確信がありました。そこでまずは何を始めようかと考え、当時は大手企業が面倒で手を出さなかった任意売却をやろうと。マーケットもニーズもあるのに競合がいないわけですから、ここなら確実に勝てると思いました。これが私の起業の原点ですね。
「不動産としては後発でも、任意売却は競合がいないブルーオーシャンだった」と話す貝阿彌代表。
高卒で自衛隊上がりの経歴でも諦めずにやり切れたのは、やはり精神力が大きかったと貝阿彌氏は語った。スキルや人脈などのロジックに頼りがちな現代において、困難を乗り越える本人を鍛えることも忘れてはいけない。
会社名 | 株式会社 エイミックス |
住所 | 大阪 :大阪市北区梅田1丁目11番4号 大阪駅前第4ビル18階 東京 :東京都中央区日本橋室町4丁目3番15号 DK日本橋4階 名古屋:愛知県名古屋市中区栄2丁目9番5号 アーク栄東海ビル9階 神奈川:神奈川県横浜市西区北幸1丁目11番5号 相鉄KSビル6階 千葉 :千葉県千葉市中央区富士見1丁目14番13号 千葉大栄ビル8階 埼玉 :埼玉県さいたま市大宮区桜木町1丁目266番3号 シンワKIビル2階 京都 :京都府京都市下京区四条通室町東入函谷鉾町101 アーバンネット四条烏丸ビル6階 |
代表 | 貝阿彌 佳則 |
設立 | 平成15年11月7日 |
Web | https://a-mics.com/ |